【現代怪奇譚】UMA(第12話)

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私はこれまで3人の人から、「妙なものを見た」という話を聞いたことがある。

 

幽霊とか妖怪とかUFOとか、非科学的なものには懐疑的なタイプの私ですが、実際見たというこの人達は私が特に信用できるタイプの人々でした。

 

初めてこの手の話を聞かせてくれたのは、幼馴染のお母さん。

とてもおとなしい人で、地元の女子高を出てる才女といった雰囲気の人です。

 

その人は高校での授業中、グランドに面した窓際の席で、体育の授業を受ける気になる先輩を盗み見ていたそうです。

 

その時、自分の目の高さを「ホウキに乗った魔女が通り過ぎた」というのです。

 

驚きのあまり「ひゅっ…」と変な声を上げてしまった為、みんなが自分に注目し、変な空気になったと言いますが、同じものを見た人はいなかったとのこと。

 

幼馴染いわく、「いろんな人にこの話をしていて同じものを見た人がいないか探しているみたいだ」とのことでした。

 

次は勤務先のおじさんに聞いた話。

その人は基本笑ったこともみたことないような、いわゆる堅物で、良い人だけどとっつきにくい。

 

でも、ある日こんな話を聞かせてくれた。

 

北陸出身のこのおじさんは、若いころは地元で身内の林業を手伝っていたという。

 

もう日も落ちそうだってことで、作業を引き上げトラックに積み込み作業をしていた時、荷台にそれはいた。

 

小さな枝をかき集めて背中に背負う15cm程度のおっさん。

お互い目が合うと、小さなおっさんは、ボリボリと頭をかきながら後退りし、そのまま荷台から飛び降りて消えたという。

 

最後は近所の神主さんの話。

やはり神職に就いていると、時には死霊・生霊などよからぬものを見たり、天狗や鬼のようなものを視ることもあるという。

 

とはいえ、その神主さんが「今もそこにいるけど」といったのは、天使みたいな姿のものだという。

 

長いウェーブがかった10円玉のような髪色で、重そうな大きな羽根がついている。

飾りなのか頭には金色の輪っかのようなものをはめていて、白いワンピースのような足元まで長い服の上には薄緑のグラデーション状の羽織を着ている。

 

「どこどこ??」なんて目をこらしていると、バイトの巫女さんがやって来た。

 

「今日もいますね。機嫌が良さそう。」

 

他の関係者には視えないらしいのですが、神主さんの他にはこの巫女さんも視えるとのことでした。

 

これらの話はどれも「ただ居る」というだけで、“災いが”とか“幸運が”って話じゃないんですが、どの人も私が人としてとても信頼している人たちで、疑う余地もありません。

 

だからどうって話でもないんですが、最後の神主さんによると、「霊感」というよりは「チャンネル?波長?が合うものと出くわすと誰でも視える」のだそうです。